
論文の内容は下記から(英文)
・https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S235251262030254X
論文内容(和訳)
JAAD Case Reports
Volume6,Issue6, June 2020, Pages 510-513
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S235251262030254X
アメリカ皮膚科学会ケースレポート誌に細野の論文が掲載されました。
2020年6月 第6巻 p510-513
タイトル
『頚の筋緊張の低下により重度のアトピーの強いかゆみが改善した3症例』
<要旨>
強いかゆみを認める中等度から重度のアトピー患者さんに対して、骨格アライメント治療(PANセラピー)を行い、自覚症状の変化と客観的評価を行った。ステロイド剤(外用薬・内服薬)や抗アレルギー薬は一切使わなかった。
15回のPANセラピーにより、強いかゆみの低下とともにQOスコアの改善、皮膚所見とアレルギー値が改善した。
<治療前後の写真>
3症例のかゆみの強かった部位の治療前・治療後の写真。
上:治療前、下:治療後
Fig.1
皮膚の炎症が改善し、皮膚に色調が大幅に改善していることがわかります。
<自覚症状の変化:かゆみと睡眠スケールの治療経過>
PANセラピー治療15回行い、治療前に自覚症状を評価した。
(A):かゆみスケール (B)睡眠スケール
Fig.2
PANセラピーにより、かゆみの自覚症状が大幅に改善し、夜間睡眠障害が改善していることがわかります。
<3症例の客観的所見の変化:治療前・後>
Case1 | Case2 | Case3 | ||||
Age (years) | 24 | 28 | 46 | |||
Sex | M | M | F | |||
Onset age (years) | 0 | 2 | 6 | |||
Pre/Post | Pre | Post | Pre | Post | Pre | Post |
EASI | 26.05 | 6.1 | 20.6 | 7.65 | 32 | 10.6 |
sIGA | 4 | 1 | 4 | 2 | 4 | 2 |
DLQI | 15 | 38 | 31 | 32 | 22 | 28 |
IgE (U mL-1) | 2076 | 5610 | 7713 | 9463 | 79 | 97 |
TARC (pg mL-1) | 3127 | 1346 | 3202 | 1119 | 1495 | 413 |
AEC (μ L-1) | 1622 | 959 | 1332 | 1722 | 1046 | 533 |
LDH (IU L-1) | 266 | 200 | 331 | 256 | 335 | 203 |
Cervical ROM arc | 103 | 123 | 114 | 127 | 98 | 105 |
骨格アライメント治療(PANセラピー)により、皮膚所見(EASIやsIGA)の改善とともに、生活の質QOLスコア(DLQI)の改善、血液検査の結果(TARCや好酸球、LDH)の数字が大幅に改善しています。
IgEに関しては上昇していますが、本研究期間が3か月と短く、来院前のアトピー悪化を要因とした二次的な上昇を反映していると考えられます。
筋緊張の指標として、頚椎の可動性を評価しています。3症例ともに頸椎可動性が治療により大幅に改善しています。