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アトピー体質改善治療のアトピー外来が生まれるまで

アトピー外来は、体質を改善することで、アトピー性皮膚炎を治し、最終的には綺麗な皮膚にしていくことを目標にした特別外来である。
体質改善の方法として、PANセラピー(筋・骨格治療)と栄養療法を組み合わせ、身体が本来持つ働き(=自然治癒力)を取り戻していくことで、正常な皮膚を作ることができる身体を手にいれることを目的としている。身体の回復に伴い、一歩ずつ皮膚の症状が改善し、皮膚炎が治り綺麗な皮膚になっていく。

病院やクリニックで行うアトピー治療は、ステロイド剤の外用剤を用い、皮膚の炎症を抑えていくという方法が治療のスタンダードである。しかし、「症状を抑えること」が治療の目的であるので、体調の変化やストレスなどの要因により、よくなったり悪くなったりを繰り返すことが多い。繰り返しているうちにステロイド剤の効きが弱くなったり、効かなくなることが多々あるのだが、医療機関での指導は、薬の塗り方がメインであり、ステロイド剤のランクを強くするか、ステロイド剤の量を増やして塗るように指導することがほとんどだ。

また、一度治療方針が決まると、あとは薬の強さの調節が診察の主目的なっていくため、診察時間も短くなっていくし、「薬を塗っても痒みがとれない」と訴えても、医師が聞く耳を持たない場合も多く、指導は大抵「薬をしっかり塗るように」と指導されるだけなので、段々と医療機関への足が遠のいていったり違う医療機関を探して行くことになる。

この「ステロイド剤を塗っても痒みがとれない」という感覚は私も経験者だからよくわかる。特に身体の中からこみ上げてくるような強い痒みがあったり、ひどい時になると、薬を塗った矢先から痒くなってしまい、皮膚を掻き壊してしまうことになる。

掻き壊すと、皮膚がヒリヒリして痛いのだが、痛みがでると不思議と痒みが減る。あの強い痒みよりは掻き壊した痛みのほうがまだマシなのだが、当然痛みは痛みで辛い。
ひどいときは掻き壊すと浸出液が出るし、治り始めてかさぶたができ始めるとまたむず痒くなる。その時点で掻いてしまうと、また傷になって痛くなる。痒みか痛みの二者択一だが、結論はどちらも相当嫌な感覚だ。

「皮膚医学の日本最先端」 東京大学へ

前にも少し述べたが、私は自分のように苦しい思いをする方を少しでも減らしたいと考え、医師を志した。まだ駆け出しではあったが「嫌な痒みをなくし、アトピーを良くする方法を研究したい」という一心で、医師としての初期研修を終え、東京大学病院へ就職した。
なぜ東大病院を選んだかというと、皮膚医学では日本の最先端の研究は東大・京大・慶応が行っており、都内主要病院の皮膚科責任者は東大の関係者がほとんどを占めていたため、最先端の研究と診療技術を学べると思ったからだ。

予想した通り東大病院には難病で苦しむ方が多数入院しており、最先端の基礎研究や臨床研究がなされていた。病気の原因を遺伝子レベルや分子レベルで解明し、有名な医学雑誌への投稿や学会発表が頻繁になされており、アカデミック日本一にふさわしい環境であった。またハーバードをはじめとする海外の有名大学とのルートが確保されていたので、希望すれば留学もできる環境であった。

東大病院には、強皮症や皮膚癌などの難病や重症な方が入院してくるので、アトピーの患者さんはそれらの患者さんと比べると軽症という印象があった。

20代後半の男性の患者さんを受け持った時のことだ。
幼少からアトピーを患い、ステロイド剤でコントロールしてきたが、社会人になり転職をきっかけに急激に悪化し、強い痒みのために眠れなくなったため入院となった。
アトピーの患者さんが入院すると、治療は1日1回ないし2回行うステロイド剤の軟膏外用処置がメインとなる。入浴して皮膚を洗浄して清潔にした後、医師と看護師でゴム手袋をして、保湿剤やステロイド剤の軟膏を塗っていく。塗ったあとに掻き壊し防止を目的に、ガーゼをあて、包帯でグルグル巻きにしてガーゼ固定して処置は終わる。

入院している間は、一日中ベットでゆっくりできるし、ステロイド剤を塗りガーゼを当てていると痒みが起きにくいため、皮膚は徐々に回復していくので1週間程度の入院でよくなっていくのが通常だ。

病棟で受け持った患者さんが退院すると、病棟での担当医師が外来でフォローしていく(退院後は自宅から病院に通ってもらい、診察は私が担当する)ことになっていた。
退院後はじめての外来の時は順調に回復している様子だったが、1ヶ月経った2回目の診察のとき、忘れもしない出来事は起こった。

その日明らかに皮膚の状態は悪化していた。
私「皮膚の調子はどうですか?」
患者「ここ2週間で急に悪くなって、また痒くてたまらなくなってきてしまって・・・」
私「しっかり薬を塗っていますか?」
患者「頂いた薬を塗っているんですが、塗るとすぐに痒くなってしまって掻いてしまうんです」
入院時はstrongestのステロイド剤を外用していたが、退院後経過は良好だったので、ステロイドのランクを下げるか検討していたときのことであった。

この「ステロイドを塗っても痒い」という感覚は、自分の体験からしてもよく理解できたので、「最先端の東大病院ならば何かよい解決策があるはずだ」と考え、上司のアトピー治療医に相談した。

上司「そんなのもっとステロイド剤をしっかり塗ってもらえばよいよ、塗る量がたりないんじゃないの?」
私「塗ってもすぐに痒くなってしまって掻いてしまうって言っています」
上司「先生までそんなこというの?しっかり薬を塗るように指導すればよいの!」

最先端の研究をしている東大病院でも、アトピー特有の痒みに対しては、ステロイド剤をしっかり塗らせるしかないとの答えであった。

因みに、外用で効果が弱い場合はステロイド剤の内服を組み合わせた治療が行われる。(免疫抑制剤の内服治療も行われている)しかし、ステロイドの内服でもこの「中からこみ上げるアトピー特有の痒み」は取れないということを私は過去の体験から知っていたから、当時から求めているのはその先の解決策だった。

この出来事が、東大病院を辞めて自分の理想とするクリニックを作るきっかけになった。

理想のクリニックを開業して。
「栄養療法」によるアトピー治療を始める

私は、中学に入ってから急激に悪化して辛かったアトピーが、回復へ向かうプロセスでさまざまな治療法や民間療法を含めて経験した。当時は試行錯誤の連続であったが、その中で栄養療法を本格的に取り入れ始めてから、自分の皮膚がメキメキと回復していった。皮膚だけでなく虚弱体質であった身体が丈夫になり、風邪などもほとんどひかなくなった。
医師となり、分子栄養学を基礎とする栄養療法を学ぶ中で、当時の経験は強い確信に変わった。栄養療法を主としたクリニックを開業するというビジョンも段々と明確になってきたころだ。

栄養療法とは、新陳代謝に必要となる栄養素を十二分に摂取し、身体に本来備わる機能を発揮する環境を整えていくことで、疾患や症状を治していこうとする治療法だ。
ベースとなる理論にパーフェクトコーディング理論やカスケードモデルがあり(ここでは難しくなるため触れない、興味ある方は栄養療法のページを参照のこと)、症状が起きている状態では、身体に本来備わっているはずの機能が発現していないか、発現しているとしても機能していないかのどちらかであるが、摂取する栄養素の量を増やしていくと、機能を発現するための酵素反応が起き、正常な代謝が行われるようになり症状が消失していく。この「必要となる量」に個体差があり、水溶性ビタミンであれば数倍から数十倍、脂溶性では数倍から十倍必要量に違いがあるとされている。そのため、この「必要量」を満たすために、処方する栄養素を増やしていくことになる。実際に、必要量を満たせたときには、本人もはっきりと自覚できるほど、明らかに症状に変化が表れ、症状は改善していく。

(栄養の世界は健康番組で取り上げられることが多いので大衆的なイメージが強いが、突き詰めていくと非常に奥が深い世界だ。患者様にも是非詳しくなって欲しいのだが、詳しい理論はこちらのページへ掲載する)

クリニックを開業してから

栄養療法からアトピーを治すことをコンセプトとして、クリニックを開業して初めて栄養療法によるアトピーの治療を行ったのは、2005年の秋口のことだ。
当時は栄養療法で使う良質な栄養素を十分含んだオリジナルのサプリメントを開発するだけの予算が取れなかったこともあり、栄養療法を始める前にまずは質の良い製品を探す必要があった。
当時、大きく広告されているものには粗悪なものも多く、とても栄養療法として扱うことに納得できるだけの品質を備えていなかったので、某会場で大きく行われている健康博覧会などのイベントに参加しては、名前の知られているものから知られていないものまで様々なものを見ていった。いつの時代も、品質は良いのだが注目されないものはあるもので、当時は今ほど名前が知れていなかったが、とても良い製品と出会うことができ、海外の栄養療法の情報も得ることができるようになった。(ちなみに今でもこれらのうちの幾つかの方々とは親しくさせてもらっている。)。

アトピー外来の初めての患者さんは5名。
紹介の方や私が書いているブログで募集を見ていらっしゃった方もいた。(当時医師でブログを書いている人は非常に少なかったのだ。)メーカーから現物を一部支給してもらいながら、栄養療法によるモニターの方を集めて治療を行った。アトピー外来はこの5名から始まったのだ。

栄養療法のアトピー治療戦略は、腸内環境の改善、かゆみのコントール、肌力の強化の3つだ。この3つの要素が揃うことで治療効果がもっとも発揮される。特に「腸内環境」に関しては、いまでこそ大手飲料水メーカーや乳製品製造業者を中心とした広告宣伝により、「アレルギーに腸内環境」は当たり前のように認識されるようなっているが、当時はまだ分子栄養学の専門誌で論文を見かける程度であり、一部の方のみが知るものだった。

栄養療法のみでは改善するものと改善しない症状がある

5人から始まったアトピー外来だったが、その後、口コミでも広まり、段々と「アトピーといえば細野クリニック」と認識いただけるようになってきた。

しかし、栄養療法の効果の出方には個体差があり、想定をこえてよい結果が出る方と、なかなか思うように効果が出ない方に分かれ、効果が出にくい方は重度のご症状の方が多かった。皮膚の傷の治りが早くなったり、表面的な痒みは減る傾向にあり、少しずつだが楽になっていたが、劇的にというよりは薄皮をはぐように少しずつ前進しているといった感じで、体の中からこみ上げるような強い痒みにはそれほど効果がないようにも見えた。

栄養療法のセオリー通りに処方すれば、「処方量を増やすということ」が最初の手段ではあるが、飲める量には限界があり、大量に飲んでいただくということは患者さんの経済的負担も増えるので、どんどんと量を増やすという方法はあまり思わしくなかった。患者さんは私を頼ってくれているし、アトピーの辛さを身をもって体験している私を信用してくれている。栄養療法を行いながら「もっと治療効果を加速させる方法はないのか?」と診療後に文献を読みあさる日々が続いていた。

アトピー性皮膚炎を治すからには、「強い痒みの改善」を避けて通ることはできない。いや、改善しなければいけない。そこでまず「強い痒みがある方と強い痒みのない方との違い」について観察することにした。

注意深く診察していくと、強いかゆみがある方は、炎症が起きている部位は真っ赤に発赤しているし、皮膚全体の色が悪く、皮膚の質感も悪い。そのうえ皮膚が固いのだ。さらに皮膚だけでなく、身体全身へと視点を広げてみたときに、程度に個人差はあるが、男女問わず姿勢が悪い。頚は傾いているし、立ち方、座り方等もスタンダードなそれと比べるとかなり悪いのだ。

観察の結果は総じて、強い痒みがない方は、栄養療法での効果はとても良く、皮膚が時間とともにみるみる綺麗になっていっていた(皮膚の健康レベルが上がる、と表現する)
一方で、栄養療法のみの治療では、この強い痒みにはかなわない印象であった。

いまでこそ骨格治療と栄養療法では治療効果の出方に違いがあり、どの症状にはどの治療からスタートするのがよいかというプロトコールがあるが、当時はまだそれが不十分で手探り感は否めなかった。

そんなことを悩みながら、よい解決方法模索していたところ考え方の転機が訪れる。
ある日のこと、一級建築士の親友とご飯を食べながら、何気なく話していた時、話の流れから重力と建物の話になった。

親友 「建物を建てるときの絶対的なルールは、基礎となる土台は重力に対して垂直にし、柱は重力に対して水平に作ることだよ。」
「柱が傾いている建物は欠陥住宅ということ?」
親友 「仮に建物の柱を重力に対して水平に作れたとしても、地震とかで傾くことがあるよね。ある一定以内の傾斜であれば大丈夫だけど、許容範囲をこえたらダメだね。」
「許容範囲を超えなくても、傾くといろいろ傷みやすくなったりするんじゃない?扉の立て付けが悪くなったり開きにくくなったりとか?」
親友 「もちろん柱の傾いた建物は傷みやすい。壁なんかは、ヒビが入りやすくなって、ひどいと壁自体が崩れ落ちることもある。上から塗装し直しても、またヒビが入って同じことの繰り返しになっちゃうけどね。」
親友 「人間だって同じでしょ?最近身体の歪みとか話題じゃない。身体が歪んだら色々な問題が起きるでしょ?」

別の業界のプロ目線の話を聞いたときに「ハッ」と気がついた。
重力の世界に生きる人間にもこの重力の法則は当然当てはまるのではないだろうか?
医学の分野として、身体の歪みとか骨格のバランスを研究してきた分野がメジャーでなかっただけで、論理的に考えを組み立てていったら当然ありうるし、あてはまらないほうがおかしいのだ。(補足 整形外科は骨格を細分化して研究し、筋骨格系に関連するものだけが対象になる。身体全体として統合して骨格を研究し治療していくという分野は新しく、その他の臓器との関係性の研究データもそれほど多くない。)

家の話をそのまま人体に当てはめ、柱は背骨、扉が各関節、壁が皮膚に相当すると考えると合点がいく。
皮膚科で処方された塗り薬を使用すれば一旦症状は良くなるが、状態が良くない人ほど再び症状が現れ、これを繰り返すというアトピー特有の一連の流れは、柱の曲がった家の壁に入ったひび割れを治すために何度も塗装を繰り返す、ということと同じではないか。つまり原因が解決しないから繰り返すのだ。
このとき一級建築士の親友は、人間の身体について重力との関係、重力軸からずれた時に起きる問題(補足していうと歪み)について研究されていないのが不思議でたまらないと言っていたが、まさにその通りだと思う。

PANセラピーによるアトピー治療を始める。

この話の後、私は皮膚と姿勢について、身体の歪みについて研究を開始した。医学的にはまだまだ研究が浅い分野であったが、この仮説が正しければ今まで栄養療法のみのでは効果が期待通りでなかった患者さんを助けることができるかもしれない。そのときの興奮はいまでもはっきり覚えている。

思い返してみれば、自分自身のアトピー治療体験を振り返ったとき、さまざまな治療法や民間療法を試した。その中には、整体、気功、ヨガもあったし、呼吸法や瞑想法も研究した。仙骨療法という仙骨に刺激をして身体を治そうという治療法もあった。

そして、さまざまな試行錯誤の結果、栄養療法を取り入れる前には、強いかゆみで悩まされることはなくなっていたことに気がついた。
身体を治すことが強い痒みをなくすために必要だということは、今までの経験の中にも隠れていたのだ。

研究を始めて数ヶ月が経過した頃、思いもよらない人生を変えるような出会いがあった。
それはドイツやオーストリアの整形外科医や統合医療専門医が治療に使っているという医療機器と出会ったことだ。

そもそも骨格の治療は手技による治療方法(補足:患部を触診し、手で刺激を与えて治療する方法。マッサージやカイロなどはこれに相当する)が主流だ。これは世界を見渡してもそう変わらない。さらに、かなりの数の治療法があり、ある程度主流なものは幾つかあるが、EBMに代表されるように標準的な治療法なるものは存在しない。そして、治療家による技術の差が激しく、効果は治療家の方の腕に大きく左右される。治療の効果も感覚に強く影響を受ける(補足:すっきりした、軽くなったといった主観によるものだけで、客観的に良くなったデータを取らない)ということもあり、中々その技術を広めにくいという問題点がある。

当時から医師の立場として考えたとき、骨格異常が原因だったとしても、その治療方法として大きく身体に負担をかけるもの、確かな根拠がない治療を行うということは考えていなかった。
しかし、この医療機器は、この条件を確実に満たしていた。安全に治療をすることが可能で、治療にも再現性があるのだ。そして、単に症状を抑えるのではなく、全身治療を行うことができ、身体の骨格のアライメントを改善することで身体に本来備わる機能を取り戻すというコンセプトもまさに求めていた治療だと確信した。

骨格治療には、正常な構造には正常な機能がある。そして、構造異常が改善すると機能異常も改善する。という基本となる理論がある。
身体が歪み、骨格構造が正常でなくなると、本来持つ機能が発揮されなくなり、問題(不快な症状)をひき起こすわけだ。そして、構造を正常に戻していく結果、問題が解決した部位は症状が消失していく。
おのずと症状が消失していくので、この治る力を自然治癒力と呼ぶわけだ。

皮膚と骨格の関係について深く考えていく中で、医学部で学んだ知識が結びついた。
皮膚にはデルマトームと言う神経分布がある(左図参照)。頚椎から仙骨までの骨の隙間(椎間孔)から神経がでており、各神経が皮膚に分布し、皮膚の感覚であったり代謝をコントロールしているのだ。皮膚と骨格からでる神経には密接な関係があるわけだ。たとえば、アトピーでは肘窩や膝窩に湿疹ができる。この部位は、肘窩はC5の神経が関係し、膝窩はS1/2の神経が関係する。そして、仙骨の位置は、尻もちをついたりぶつけることで容易に位置ずれを起こすし、C5は最も負担がかかる部位になる。だからこそ‘好発’部位となるわけだ。

骨格治療を始めてから

一定のトレーニングを受けてから、念願の骨格治療を当院で始めることとなった。
最初は、知人友人にモニターをお願いし、段々にアトピーの患者さんの治療をするようになっていった。治療の方法は教科書にある通り、鏡で姿勢をチェックし、関節の可動性や筋緊張の改善のチェックしていった。
姿勢が良くなり、構造の位置関係が良くなれば、機能としての関節の動きであったり、筋緊張が改善していくわけだ。私が考えた通りなら治療を行った結果、不快な症状、特にアトピーによる強いかゆみや付随する皮膚症状も改善していく!・・・はずだった。

私の考えた通り、身体の緊張が緩和するとともにかゆみも少なくなり、「かかなくなるから皮膚の傷が減り、段々に症状が改善していく」という流れで改善していく患者様がいる一方で、治療の直後は筋緊張がとれ、身体は楽になっても、皮膚のかゆみが変わらない、皮膚症状がよくならない、という患者様が一定数いたのだ。
例えば治療終了後、筋緊張がとれて身体は軽くなり楽になっているのだが、皮膚の痒みが全然変わらないのだという。皮膚を治したくて治療しているのに、皮膚のかゆみが取れないのでは意味がないのだ。

結論から言うと、当時は分析として、鏡で全身のバランスをチェックし、機能として関節の可動性や筋緊張をチェックしていたが、これだけでは足りなかったのだ。

そこで、分析の項目にレントゲン撮影を行うことにした。当初は症状が重く、一定期間治療を行っても痒みが変わらない患者様だけに行っていたが、現在では、より正確な治療を行うために、治療を行う前の段階で必ず撮影をお願いしている。(妊娠など禁忌の方を除く)実際に、骨格治療に対して治療効果が出にくい方を調べてみると、骨の加齢性変化が強かったり、位置ずれの仕方も通常よりも重度であった。(これは、レントゲンを撮ってみるまではわからないことだった。)

触れば、どこが固いか緊張しているかはよくわかる。触り慣れていけば、患者さんが痛いという部位(圧痛点)も即座にわかるようになる。ところが、それが分かっても、患者さんの骨格の状態を詳細に把握するにはレントゲンを撮影するまではわからなかったのだ。当たり前と思われるかもしれないが、骨の状態が悪い方ほど、治療に対する効果も出にくい傾向にあることも、このときはっきりとわかったのだ。

「レントゲンは医療機関では当たり前に撮影するのになぜ撮影しなかったのか?」という至極当たり前の指摘があるかもしれない。しかし、骨格を治療し始めたにも関わらず、レントゲンを撮らずに治療したのには理由があった。
医学部での教育では、一度出来上がった骨格は劣化(加齢性変化)することはあれ、動いたり改善するとは考えられていなかったからだ。骨格が大きく動かないのであれば、余計な被爆をする必要はないのだから、レントゲン撮影を行うメリットもなくなる。

現在数多くの方の治療前と治療後のレントゲンを比較するようになって、この医学的風説は書き直す必要があると強く感じている。正確に分析をし、正しい方向で治療すれば、骨格は変わると。
「六十の手習い」という言葉があるが、60歳以上の方でもレントゲンが変わるのであるから、人間にはそれだけの力があるのだ。(当然だが、若い方の方がよい変化をする可能性は高い。)

更なる高みへ

骨格治療というと、日本では、整体やカイロ(アメリカでは有資格者による治療)での無資格者による施術がメインだ。整形外科は骨折は治すが骨格治療を行わないからだ。マッサージの延長線で強くない刺激による施術から、頚椎をボキボキと捻じる施術をしている治療院もある。ボキボキされるとその場はすっきりするので、施術を受けた側はすっきりするので納得するが、そういった施術を受けている患者さんのレントゲンを見るとぞっとすることが多い。

こういった患者様は頚椎が左右にでこぼこに位置ずれを起こしている方が多い。ちなみに、これは通常では起きないずれ方で、施術による影響が強いと考えられる。それでも本人としては、その場は楽になっているのだからよしと考える。しかし、その位置ずれはある一定以上の時間がたったときに問題を引き起こすことになる。
ボキボキと音がなるような強い力で施術を行うことは、それだけのリスクを孕んでいるのだ。

PANセラピーでアトピー特有の強い痒みを解決できるようになって、新たに分かってきたことが3つある。

①PANセラピーの治療により、皮膚の痒みだけでなく、肩こりや頭痛、頸の痛みや腰痛、足のむくみ、生理痛など骨格に関連する様々な症状を改善することができるといこと。

②このような症状が改善してきた方は、皮膚の赤みがとれ、色や質感が改善し、透明感のある綺麗な皮膚が出始めること。

栄養療法と組み合わせることにより、色素沈着を改善することができること。

特に3つ目に関しては、真面目にコツコツと治療している方程明らかに綺麗な皮膚ができてきているのだ。
栄養療法は、アトピー特有の強い痒みには効果が出にくい傾向にあったが、強い痒みがない方ほど効果が出る傾向にあったと前に述べた。PANセラピーで筋緊張がとれ骨格のバランスがよくなっていき、この強い痒みが取れた方は、栄養療法も効果がしっかりと出るようになるので、皮膚の質感や色素沈着が綺麗になっていく。皮膚本来の正常な代謝が行われるようになっていくのだ。

PANセラピー「‘身体の土台」がよくなった結果、栄養療法の効きがよくなるというのは一大発見だった。
実は、PANセラピーで骨格治療をしていくと、栄養療法だけでなく、ステロイド剤をはじめとする外用剤の効果もよくなっていく。通常の皮膚科診療では、使い続けると外用剤の効きがよくなることが多いので、ステロイド剤のランクを上げて対応していくことになる。またひどい場合は、塗った矢先から痒くなることが多い。ところがPANセラピーによる治療をうけていくと、外用療法による塗るだけでの痒みはなくなり、効果もよくなっていくので、ステロイド剤を弱くしていくことが可能だ。さらによくなっていくと、ステロイドの外用なしでも皮膚の状態をコントロールできるようになっていくのだ。

治療によって身体が変わっていくと、外用剤の効きがよくなるし、スキンケアも肌質に合わせて選らばなければいけなかったのが、肌質を選ばすに好みで色々なスキンケア商品を使えるようになる。化粧をしても大丈夫になるのだ。

最後に

骨格治療のためにレントゲンをとるようになり、今では一万枚を超える骨格のレントゲン写真を分析してきた結果、みなさんにお伝えしたことがある。

骨格治療で、構造異常が改善すると、不快な症状が改善していく。
通常の標準的な治療をして改善しなかったとしても、身体の機能が取り戻されていくと、症状が改善していくことは頻繁にあり、驚くほど色々な症状が改善していく。
アトピーでいえば、身体のなかから沸き起こるような強い痒みが解決していくだけでなく、皮膚の質感が変わり、正常な皮膚が現れ始める。

骨格治療の分野は治療としての歴史が古いが、医学としては新しい分野だ。全体をみて治療をしていくという統合医療としての治療法とした場合は最先端な治療となる。「木をみて森をみない」のではなく、「全体をみて部分も治していく治療」なのだ。

全体としての調和がとれ構造異常が改善していく結果、身体に備わる本来ある機能が取り戻されていく。治り方には個人差があるが、新しく起きた症状から治っていく方が多い。時間を逆回しするような感じだ。感度のよい方だと、昔の古傷が治り始めるときに、その頃感じていた感情がよみがえり、心の傷もきえていくようだ。

身体の機能が取り戻されていった結果、皮膚の症状だけでなく、頸や腰の痛みや頭痛、顎の痛みなど様々な症状が解決していくわけだ。つまり身体全体が健康になっていく感じ、もっと言うと健康レベルがあがるということになる。

健康レベルがあがれば、日々体調良く過ごすことができるし、病気になるリスクもすくないだろう。理想の健康状態、オプティマルヘルスの実践だ。また年齢よりも若く見えるので、アンチエイジングの実践にもなる。
骨格治療と栄養療法により、身体全体の健康レベルをあげていき、さまざまな不快な症状を解決していく、これが、私のクリニックでやりたいことなのだ。

毎晩、寝る前に行っている習慣がある。
今日一日最善を尽くしたか自分に自問自答するのだ。
仕事を家に持ち込まないという考えもあるが、私の場合は、四六時中、意識無意識問わずに治療のことを考えている。
「どうしたらもっとよく治すことができるのか?」
「こうすれば取れなかった症状をとることができるのでないか?」
日々心の中で対話しながらの毎日だ。

だから、なかなか問題が解決せずに辛い思いをされていた方をよくできたときは心の底から嬉しい。それはもう涙が出そうな程に。アトピーで悩む方を1人でも多くの方を楽にしたい。楽になってほしい。もう辛い痒みで悩む必要はないのだから。

細野クリニック
院長 細野周作


住所:東京都中央区京橋1-6-11 カンケン京橋ビル2F
FAX:03-3563-0578
MAIL:info@hosono-clinic.com
診療科:皮膚科、内科、整形外科
院長:細野周作
<提携病院>
聖路加国際病院/東京医科歯科大学付属病院/虎ノ門病院/東京都済生会中央病院/井出デンタルクリニック/伊藤メディカルクリニック